2020年の10大ニュース
私がメンバーとなっている「技能実習適正化支援センター」がとりまとめた技能実習に係る2020年の10大ニュースをご紹介します。

 

1.新型コロナウイルス感染症等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱い(特定活動)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた技能実習生の特定活動への在留資格変更について、当面の間、以下の特例措置がとられました。
(1) 技能実習生が本国への帰国が困難である場合、従前と同一の業務(又は従前と同一の業務に関係する業務)で就労を希望する場合、「特定活動(6か月・就労可)」への在留資格変更が可能です。
(2) 技能検定等の受検が速やかにできない場合、「特定活動(4か月・就労可)」への在留資格変更が可能です。
(3) 技能実習2号・3号を修了される方で、特定技能1号への移行に時間を要する場合、移行準備の間、「特定活動(4か月・就労可)」への在留資格変更が可能です。

 

2.新型コロナウイルス感染症等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱い(在留手続)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱いについて、当面の間、以下の特例措置がとられました。
(1) 在留資格認定証明書の有効期間(通常は3か月間)までに来日することができなかった場合、申請人の滞在国・地域に係る入国制限措置が解除された日から6か月又は2021年4月30日までのいずれか早い日まで有効なものとして取り扱うこととします。
(2) 再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国中の技能実習生が出国前に在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請を行っている場合であって、再入国できない時は、受入れ機関の職員等による当該申請の許可に係る在留カードの代理受領が認められて、出国中の技能実習生が再入国許可による上陸申請を行うことを可能とする処置がとられます。

 

3.国際的な人の往来再開に向けての段階的措置
本邦への入国・出国を可能とするスキームとして、レジデンストラックとビジネストラックの試行が始まり、2020年12月18日現在、レジデンストラックはタイ・ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー・中国など11か国、ビジネストラックはベトナム・中国など4か国が開始済みです。その他の国からの新規入国についてもレジデンストラックと同様の手続きにより入国が可能となっています。

 

4.監理団体の許可取消し・技能実習計画の認定取消し
2020年における許可取消しは8監理団体、技能実習計画の認定取消しは66実習実施者でした。特に、技能実習計画の認定取消し事由の半数近くが、労働関係法令違反となっています。

 

5.建設分野における建設キャリアアップシステム
2020年1月1日の国土交通省告示により、建設分野の技能実習生受入れの要件として、建設キャリアアップシステムへの登録が義務化されました。2021年1月からは建設分野の第2号技能実習生にも適用されます。

 

6.技能実習2号移行対象職種・作業の追加
2020年10月21日時点における技能実習2号移行対象職種・作業は、82職種・150作業(技能実習3号移行対象職種は74職種132作業)です。2020年には新たに宿泊職種、棒受網漁業、グラビア印刷作業、築炉作業、調理加工品製造作業、生食用加工品製造作業が追加されました。

 

7.機構への申請書等における押印廃止
監理団体及び実習実施者が外国人技能実習機構に対して提出する申請書、届出書及び報告書について、押印又は署名が廃止されることになりました。令和2年12月25日に公布されて即日施行となりました。

 

8.技能実習計画の認定申請書類の簡素化
外国人技能実習機構に対する技能実習計画の認定申請書類が、2020年3月31日簡素化されました。簡素化の内容は、様式の廃止・削減、記載項目の削減、添付書類の廃止から成っています。

 

9.特定技能外国人の受入れが低迷
特定技能1号在留外国人は2020年9月末現在8,769人であり、約60%がベトナム人となっています。制度開始から1年半経った時点でも、受入れ見込数(5年間の最大値)345,150人に対して2.5%に留まっています。

 

10.優良な実習実施者及び監理団体の基準の変更
優良な実習実施者及び監理団体の基準が2020年11月24日付けで改定されて、技能等の修得等に係る実績に関する項目と相談・支援体制に関する項目の評点の配点が見直されました。新評点では150点満点中90点以上を獲得した場合に「優良」と判断されます。

 

国際的な人の往来再開に向けた段階的措置(技能実習生の入国)
(1)我が国と相手国、地域との間での双方向の往来再開のため、主に技能実習生など長期滞在者を対象としたスキーム「レジデンストラック」(現時点の対象国・地域:タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、シンガポール、ブルネイ、韓国)が運用されていますが、更に、10月1日よりは全ての国、地域からの外国人の入国が可能となっています。入国にあたっては所定の防疫措置をとる必要があり、また、入国後は施設等での14日間の待機が求められます。
(2)双方向の往来再開については、上記(1)の「レジデンストラック」に加え、主に短期出張者を対象としたスキーム「ビジネストラック」(現時点の対象国・地域:シンガポール、韓国、ベトナム)の運用が開始されています。「レジデンストラック」と同様に所定の防疫措置をとる必要がありますが、「本邦活動計画書」の提出等の条件の下、入国後の施設等での14日間の待機期間中も行動制限は一部緩和されてビジネス活動を行なうことができます。なお、ベトナムについては、短期出張者に加え、技能実習生を含む長期滞在者も対象となっています。
(3)上記のとおり、技能実習生についてはその対象国を問わず入国が可能であり、特にベトナムについては、14日間の待機期間中の行動制限が緩和される「ビジネストラック」のスキームを利用することができます。

(4)手続きの詳細等については下記の外務省HP及び同HPにある関係省庁、外国人技能実習機構など関係機関のリンク先の情報をご参照下さい。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page22_003380.html

 

厚生労働省発表の監理団体及び実習実施者に対する処分に関する分析
2017年11月に技能実習法が施行されましたが、法務省(出入国在留管理庁)と厚生労働省は、同法等への不正行為を行った監理団体、実習実施者に対する処分をおこなっています。厚生労働省のホームページは、これまで9回に亘り処分内容について掲載していますところ(注)、その内容及びその分析について次のとおり紹介します(対象期間は2017年11月〜2020年6月)。
(注:2018年7月、12月、2019年1月、9月、10月、11月、2020年1月、2月、6月に掲載)
1.監理団体に対する処分
(1)処分を受けた監理団体の累計数
(イ)改善命令   1監理団体
(ロ)許可の取消し   8監理団体
(2)処分事由
(イ)改善命令
●傘下の実習実施者に対する監査を適切に行っておらず、監理事業の適正な運営を確保するために改善命令を行う必要があると認められたため(1件)。
(ロ)許可の取消し
●外国の送出機関との間で、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定める等不適切な条項を盛り込んだ覚書を締結していたこと(3件)。
●技能実習生に対し、入国後講習を認定計画どおりに行わなかったこと(3件)。
●実習実施者に対する監査を適切に行っていなかったこと(2件)。
●外国人技能実習機構による実地検査において、虚偽の入国後講習実施記録の提出等を行ったこと(1件)。
●虚偽の監査報告書を外国人技能実習機構に提出したこと(1件)。
●実習実施者に対して訪問指導を適切に行わなかったこと(1件)。
●自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせていたこと(1件)。
(注:1監理団体に対する処分事由が複数ある監理団体もあるため、処分を受けた監理団体数と処分事由数とは一致していません。以下実習実施者に対する処分についても同様。)
2. 実習実施者に対する処分
(1)処分を受けた実習実施者の累計数
(イ)改善命令   3実習実施者
(ロ)技能実習計画の認定取消し   42実習実施者
(2)処分事由
(イ)改善命令
●技能実習の期間を通じた業務の構成が、技能実習の目標に照らして適切なものではなかったこと(1件)。
●認定計画に従って技能実習を行わせていなかったこと(1件)。
●技能実習計画どおりに必須業務の作業を行わせていなかったこと(1件)。
(ロ)技能実習計画の認定取消し
●認定計画に従って技能実習を行わせていなかったこと(15件。含む、技能実習計画に記載された実習予定時間を大幅に超過して技能実習を行わせていたこと(3件)、技能実習計画どおりに必須業務の作業を行わせていなかったこと(2件))。
●関連法令(労働基準法、労働安全衛生法、相続税法、出入国管理及び難民認定法)違反により罰金の刑に処せられ、刑が確定したこと、又は執行を終えたこと(12件)。
●賃金の未払い(11件)(内訳:認定計画に従って賃金を支払っていなかったこと(7件)、割増賃金の不払い(4件))。
●外国人技能実習機構に対し、虚偽の答弁・報告をしたこと(4件)。
●入国後講習期間中に技能実習生に対して業務に従事させたこと(3件)。
●地方入国管理局より技能実習に係る不正行為に対する通知を受けたこと(2件)。
●実習実施者役員が技能実習生に対し、虚偽の答弁をするよう指示したこと(2件)。
●外国人に不法就労活動をさせたこと(1件)。
●技能実習計画に記載された居住費よりも高い金額を居住費として徴収していたこと(1件)。
●監理団体の実習監理を受けなかったこと(1件)。
●技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったこと(1件)。
3.当事務所の分析
●技能実習法施行以降、監理団体に対する改善命令は出ていませんでしたが、本年6月、傘下の実習実施者に対する監査を適切に行っていなかったとの理由により、初めて1件の監理団体が同処分を受けました。
●監理団体の許可取消処分理由では、外国の送出機関との間で違約金条項を入れた覚書の締結、認定計画どおりに入国後講習を行っていなかった、実習実施者への不適切な監査が複数回指摘されています。このうち、違約金違反については、前年2件、本年1件と最近目立っています。
●技能実習計画の認定取消処分を受けた実習実施者の公表数は毎回1桁台で推移していたが、最新(2020年6月)の発表では11件となっており、増大傾向が見られます。また、実習実施者(企業)の規模に拘わらず処分がなされているのが特徴で、個人事業主から著名な企業に至るまで処分がなされています。
●実習実施者の技能実習計画認定取消処分の理由では、認定計画に従って技能実習を行わせていなかったこと、労働基準法・労働安全衛生法等関連法の遵守違反、賃金の未払い、の3事由が最も多くなっています。また、外国人技能実習機構への虚偽報告も複数回指摘されています。
●技能実習計画の認定取消処分がなされると、現在受け入れている在籍の全ての技能実習生の実習を継続できなくなるのみならず、取消日から5年間、新たな技能実習計画の認定が受けられなくなります(技能実習法第10条第7号)。このような厳しい制裁を受けることに加え、団体監理型技能実習では、技能実習生が円滑に転籍を行うことができるよう、他の監理団体の協力を得て、在籍している技能実習生の転籍を行うことが必要となります。監理団体及び実習実施者としては上記事由例を参考にしつつ、認定取消がなされることがないように、普段から留意しておくことが大切です。

 

外部監査人への就任
技能実習法により、管理団体は業務の中立性を担保するため、外部役員または外部監査人の措置を義務付けられており、管理団体許可の要件の一つになっています。
外部監査人は、管理団体の各事業所について監査等の業務の遂行状況を3か月に1回以上確認し、1年に1回以上同行して確認し、その結果を記載した書類を作成し、管理団体へ提出する必要があります。
外部監査人は、過去3年以内に外部監査人に対する講習を修了した者でなくてはなりません。管理団体の多くは、外部監査人を入管・技能実習法の専門家である行政書士などに依頼されており、当事務所では、この外部監査人として依頼も承っております。また、法的保護講習の講師もお引き受けします。

 

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